『霊魔伝』其の弐 火の章
一陣の風がすっと吹くと社の前に、猿の顔をした小男が立っていた。

《久しぶりだな。ハハハ、今はそんな姿でおるのか。名をもらったようだな、そこの若者に。》

《ああ、白狐老じゃ。良い名であろう。ふぉ、ふぉ、ふぉ。》

白狐老はうれしそうに笑った。

《その男がそうか。いい顔をしているぞ。鍛えがいがありそうだ。》

《零次朗殿、紹介しよう。木の属性を司る霊魔じゃ。名前は自分で聞きなさい。人と霊魔の関係は、それが基本じゃ。零次朗殿は、今までもそうしていたのであろう。のう小太郎。》

《そうだ。零次朗は生まれつきの霊魔使いだ。》

小太郎は頷いた。零次朗は畏まっている。

「初めまして、零次朗です。宜しくお願いします。それで、名前を教えてくれますか。なんと呼んだら良いのでしょう。」

《ハハハ、そんな敬語使わなくても良い。おまえは、霊魔と友達なんだろう。なら、俺とも友達だ。名はエントラという。この名はおまえの母佐緒里からもらったものだ。》

「母さんが付けたのか。」

《そうだ。佐緒里は優しい霊魔使いだったぞ。おまえにもその血が流れているようだ。白狐老よ、零次朗は引き受けた。》

《頼むぞ。まだ、属性に目覚めておらんから、属性を引き出してくれ。》

白狐老は、小太郎にも続けて言った。
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