『霊魔伝』其の弐 火の章
零次朗は外に出ると、急に疲れを覚え、ふらついた。

「何をしたわけでもないのに、すごく疲れている。」

《零次朗、心の力を使うと言うことは、すごく疲れるのだ。》

小太郎がいつの間にか、零次朗の横にいて支えた。

「小太郎ありがとう。白狐老、少しはわかったような気がする。自分の置かれた立場が。」

《ふぉ、ふぉ。それはよかった。自分の宿命を受け入れることが、何よりの修行じゃ。》

「それで次は。」
エントラに向かって尋ねた。

《次は、小太郎と共に金の社に入るのがよい。零次朗、今入っていた社は木の社。その反対側にある社が金の属性の社だ。》

《ちょっと待て。エントラよ、金の社はまだ早いのではないか。順序から言えば、火の社じゃろう。》

《本来ならそうだが、少し考えがあるのだ。それに小太郎がついているので、守ってくれるだろう。な、小太郎。》

エントラは、小太郎に片目を瞑って見せた。

小太郎は零次朗の顔を見ながら言った。
《まかせとけ。零次朗。俺が守ってやる。》

「守るって、そんなに危険な修行なのか、小太郎よ。まさか命まで取られるなんて無いよな。」

《命は取られないけど、途中で心が挫けると、亡霊になってしまうぞ。でも、零次朗なら大丈夫だ。》

「えっ、亡霊に。」

零次朗は驚いて、エントラと白狐老を見た。
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