『霊魔伝』其の弐 火の章
イシャナエイは扉に張ってある封印の札を破いた。
そして扉をゆっくりと開けた。

《さ、どうぞ。まっすぐ歩いていけば、戻れます。》

「さよなら、イシャナエイ。またどこかで会えると良いな。」

《きっと会える。それを信じましょう。》

零次朗はカクギョウと共にトンネルに進んだ。

背後で扉の閉まる音がした。

闇に包まれた中を歩いていくと、明かりが見えてきた。

「出口が見えました。カクギョウさん。」
そう叫ぶと、カクギョウが答えた。

「ええ、見えました。零次朗さん、お別れですね。」
その声は遠くに聞こえた。

「カクギョウさん。」

《零次朗、カクギョウ殿とは出口が違うのだ。見えている出口が二人では違う。》

「カクギョウさん、ありがとう。」
カクギョウには聞こえていないかも知れないが、心から叫んだ。

「とにかく出口に向かおう。」

歩いていくと明かりが大きくなってきた。

そしてその明かりに目が眩んだ瞬間、押し出されるようにして金の社から転がりでた。


ふと気が付くと、小太郎が立っていた。


その後ろではエントラと白狐老が笑っていた。

《良く戻ったの。今回は想定外のことが起きたが、修行としてはまあまあじゃな。》
エントラがそう言うと、白狐老も続いた。

《実戦は無かったが、今回は精神力の修行が中心じゃ。少しは鍛えられたかの。ふぉ、ふぉ、ふぉ。》


「小太郎、俺は疲れた。」
零次朗はそう言うと、意識を失った。

《零次朗、ゆっくり休め。俺がそばについているぞ。》


《だいぶ疲れたと見える。眠るがよい。ふぉ、ふぉ、ふぉ。》

静寂な中に白狐老の笑い声が響いた。


『霊魔伝』其の弐 火の章 完
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