おしえてください、先生。
お母さんの背中からそっと覗き込む。
その姿を捉えて、ハッとした。
バスで助けてくれた人だ……!
さっきはぶっきらぼうだったのに、笑顔でそこに立っている。
「……で、南ちゃんって……」
「あぁ、うん。ほら、南」
お母さんが私の前からいなくなる。
男の人と、バッチリ目があった。
バスの時は慌ててて気付かなかったけど、私が志望している明英高校の制服を着ている。
明英高校は県内トップレベルの公立高校。
この人、頭良いんだ……。
「あ、えっと……」
つい、どもってしまう。
「あれ、さっきの……」
バスで助けてくれた男の人……もとい雄悟くんも戸惑ってるみたい。
変な空気が流れる。
「なに?二人、知り合いだったの?」
「知り合いって言うか……さっき、バスで会って」
「あら?雄悟くん、バスだったの?」
「ああ、はい。ちょっと駅に用があって……」
男の人から目をそらして、私は俯いた。