この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ん?おいアキラ、どうした?顔色悪いぞ?」
「…やべぇ…」
「え??なにが?」
首を傾げる部員たちに対して、ヒゲ男は走り出していた。
「え?アキラどうした!?」
「お――い、アキラぁ…!!」
部員たちの声は、ヒゲ男にはもう届かない。
ヒゲ男は息を切らしながら、
もう小さくなってしまったマサルの背中を必死に追いかけたのだった。
「美代――!!!」
途中、札がついたロープをくぐり抜け、人の賑わいから少し離れた場所まで来て
俺はようやく美代の姿を見つけた。
「美代…ッ!」
美代は全身ずぶ濡れで、こちらに向かって走っている所だった。
「マ、マサルさん…!!マサルさん!!」
美代は涙でぐしゃぐしゃになった顔で俺の胸に飛び込んでくる。
俺も美代を抱き締めた。
「美代!?大丈夫か?」
俺は美代の顔を両手で挟んで、美代の無事を確認する。
美代は震える体で泣きながら海を指差した。
「夏美が…夏美が…」
取り乱す美代は過呼吸ぎみになりうまく話せない。