この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「美代…ちょっと落ち着け」
俺は美代の背中を撫でながら、美代を落ち着かせる。
「夏美が…波…さらわれ…!」
美代は喘ぎながらも必死に訴える。
波…?
美代の言葉に俺が海を見ると、沖に小さな人影が見えた。
もう表情も見えない程小さいけれど…
それは夏美が溺れている姿に違いなかった。
「はぁっはぁっ、やっと追い付いた…」
その時、ヒゲ男がようやく追い付く。
「はぁっ…あれ?…美代ちゃんだけ?
…………夏美は?」
俺の腕の中で泣きじゃくる美代を見てヒゲ男の顔がこわばった。
「誰か早く呼んでくれ!!夏美が溺れてるらしい!!」
俺の声にヒゲ男の目が見開いた。
「は……?夏美が…?」
ヒゲ男は慌てて海を見渡す。
そしてもう豆粒のように小さくなった夏美を発見した。
「な、夏美……ッ!!!」
次の瞬間、ヒゲ男は海に向かって猛烈に走り出した。