この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
ヒゲ男の表情は徐々に絶望に変わり、ついにそのまま動かなくなった。



「ッ………」


砂浜に頭をつけるヒゲ男。


ヒゲ男の背中が小さく震える。


「こんなの…認めねぇぞ…」


ヒゲ男は震える手を抑え、砂浜から頭を持ち上げるとそのまま夏美に顔を近付けた。



「はぁ……夏美よぉ…頼むから目ぇ醒ませよ…」


夏美の頬に一粒の滴が落ちた。


「俺…お前にまだちゃんと謝ってねぇよな?」


ヒゲ男は夏美を見つめる。


「それにまだ…なんも伝えてねぇんだよ…」


ヒゲ男は涙を目にためて冷たい夏美の手をギュッと握った。



「俺…馬鹿だからよぉ、こんな風にならなきゃ分かんなかったんだ…」


ヒゲ男は、もう片方の腕を伸ばすと


その大きなで手で夏美の小さな頬を愛しく包み込んだ。


「夏美、ごめんな。ずっと傍に居すぎて気付かなかったけどな…



俺…夏美がいなきゃ駄目なんだ…」





< 236 / 513 >

この作品をシェア

pagetop