この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
そしてガチャンと電話は切れたようだ。


「……………」


ヒゲ親父は、受話器を静かに戻す。


そしてゆっくりとヒゲ男の方を見た。


「よし…アキラいきなさい」


ヒゲ親父の言葉に動揺するヒゲ男。


「え?!で…でもよぉ」


「大丈夫だ。お前なら出来る」


「…………」



この間も、依然として大林リポーターは外で叫び続けている。



ヒゲ男はもう一度ゴクリと唾を飲むと、パンッと何かを決心したように頬を叩いた。


そして


「…よし、開けるぞ」


ヒゲ男はようやくガラガラと引き戸を開けた。



「あ!海堂さんいらっしゃったんですね!」


真夏の昼下がり


外で叫び続けた大林リポーターは汗をかいていた。


「こちらニュースdeランチの突撃deQです!昨日の水難事故についてお聞かせ願いませんか?」


大林リポーターは笑みを浮かべてヒゲ男にマイクを向けた。



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