この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
店内からはヒゲ男の背中ごしに引き戸の向こうの様子が少し見える。


店の前にはTV局関係者の他にも


一般の野次馬がカメラを持って集まっているようだった。


「はい…何でも聞いてください」


TV画面には店の前に立つヒゲ男の姿が映っている。


気持ちを切り替えたヒゲ男は、少し目が泳ぎながらも営業用にキリリとした表情をしていた。



「プッ、アキラの顔マジうけるし」


TVを意識し過ぎたその顔に、夏美はプッと吹き出した。



「それでは、まず映像ではもう一人女性も救助されていますが…彼女とはお知り合いですか?」


「あ、はい。俺の彼女です」


「え?彼女なんですか!ではもしや…彼女を助けようとして海堂さんも海に?」


「え?あ、まぁそういうことです」


「わぁ~それは勇敢な行動でしたね!」


「え、いや…まぁあの…当然のことをしたまでです」


大林リポーターの台詞にヒゲ男は照れながら頭をかいた。


< 273 / 513 >

この作品をシェア

pagetop