この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
責任者の言葉に周りのスタッフはギョッとした目を向ける。


「ただし一応こんなコーナーでも全国に向けた生放送なんだ。会話が嘘だとしても面白い展開にしてくれよ?」


責任者は扇子を閉じるとその先で俺の胸をポンとつついた。


「CMあけ10秒前です!」


アシスタントの声で責任者は後ろに下がった。


そして、ねっとりと品定めするような視線を俺に向ける。


「マ…マサルさん…大丈夫?」


美代は心配そうな顔で俺の腕を掴んだ。


「あぁ。見とけ」


俺は美代に小さく頷いた。



いつの間にか


外にいた野次馬も入口に詰めかけてこちらを見ていた。







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