この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「今から魚たちに、この桶めがけてジャンプするように頼むつもりだけど…それで証明になるか?」


俺が責任者の方を見ると責任者はアゴに手をやった。


「ほほう…?ジャンプする順番も決めれるのか?」


「あぁ」


責任者はニヤリと笑った。


「ふん、なら大林が決めてやれ」


「え?わ、私ですか」


責任者の言葉に大林リポーターは少し戸惑った。


「では、この魚から…」


大林リポーターが魚を指差す。


「せっかくだから、飛ぶ前に3回まわってワンとか鳴いてもらおうか」


責任者は出来ないと決めつけているのかそんな冗談を言いニヤニヤ笑った。


「…………」


俺は指定された魚に語りかける。


「おい、お前の名前は?俺はマサルだ」


魚はふわりとこちらに頭を向ける。


『…自分は…平あじの佐之助と申しやす』


「佐之助か。悪いが今から隣の桶にジャンプで移動出来るか?それが海に帰してやる条件なんだ…」



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