この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
もう何時間ぐらい叫び続けただろう。


辺りはすっかり真っ暗になり、緑地は闇に包まれていた。


そこそこから牛蛙や夏虫の声が聞こえてくる。



「美代――…!」


まさかこんなところには…と思いながらも


俺は僅かな可能性を信じて草むらに分け入り美代を探していた。


しかし電灯の灯りが届かない草むらは、底無し沼のように深く暗い。


汗で濡れた手足は土や草でドロドロになっていた。


汗が目にしみる。






と、その時―――…





ニャ~…


野太い声が聞こえてきた。


よく知ったその声に、俺が振り向くと足元にボスがいた。


「あ…ボス…」


『マサル…ニャ?…こんな時間に何してるだニャ?』


ボスは目を大きくしながら口にくわえていた魚を下に置いた。



「実は……美代が…」


『ニャ…?』


そして俺はボスにも今日の出来事を話した。



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