この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
その時


後方の草むらの根本がざわざわと大きく揺れた。


え?!

なんだ?



すると草むらの中から黒い小さな影がモソモソと這い出てきた。


「…え?ネズミ…??」


そこに現れたのは一匹のネズミだった。


『どぶねずみの忠兵衛(ちゅうべえ)だニャ~』


「ボスの知り合いか?」


『まさか。忠兵衛は俺の獲物だニャ~』


ボスは忠兵衛をしたなめずりして見た。


『なんでい?呼んどいてウザい目で見んじゃねっチュ』


今にもボスと戦いだしそうな忠兵衛に


俺はしゃがみこむと挨拶をした。


「忠兵衛っていうのか?俺はマサルだ」


『チュ?!てやんでぃ、あんちゃんオラの言葉が分かるっチュ?』


忠兵衛はぶったまげた。


「ああ。俺は忠兵衛ともボスとも話せる」


忠兵衛は俺の言葉に目をぱちくりさせた。


「忠兵衛とボスは話せないのか?」


呼ばれて来たからてっきり話せるのかと思ったが…


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