この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『まさか!オラのこの背中の傷はそのどら猫がつけたものっチュよ!?』


「じゃあ…どういう関係なんだ?」


俺は首をかしげた。


『俺と忠兵衛は昔からのライバルだニャ~。トムとジェリ―って知ってるかニャ?」


「は?トムと、ジェ…?」


『知らんならいいニャ。まぁ普段は敵だが利害が一致すれば助け合うこともあるニャ』


「だけど言葉通じないんだろ?」


『ニャ~。そんなものはフィーリングでなんとかなるニャ』


ボスはふんと笑った。


『これから一週間、俺はネズミを食わニャい。それを条件に忠兵衛に美代の行方を聞いてみニャ?』


「あ…あぁ」


ボスの言う通りに俺は忠兵衛を見た。


「ボスが一週間ネズミを食べないそうだが…。協力してくれるか?」


『チュ。どんな件でぃ?』


「……………」


そして俺は忠兵衛に今朝の話をした。









俺の話を聞き終えた忠兵衛はウンウンと頷く。


『ゴミ捨て場ならオラの仲間の誰かが見てるかもっチュ』


「そ、そうか!」


忠兵衛は頷いた。



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