この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ん?」


美代は何かに気付いたように手を伸ばし、机の上のメモを見た。


そのままメモを凝視した美代の表情は徐々に険しくなる。


美代はスタンドライトに目をやりながら頬をかいた。


「え…え~…?私…昨日酔い潰れてアキラ先輩に送ってもらったんだ…?」


美代は苦い顔をしながらスタンドを覗きこむ。


「うわぁ、本当に割れてる…。私が昨日こけて割ってしまったって書いてあるけど…それすら覚えてないとか…」


美代はマズイマズイと口に手を当てながら呟いている。


俺はそんな美代の足元に駆け寄った。


『なんだよ、それ。美代ほんとに覚えてねぇの?それは俺が割ったんだよ!』


「ん?マサルさんも昨日知らない男の人が来て怖かったよね?ごめんね~…」


美代は足元の俺を抱き上げるとギュッと抱きしめてくれた。


「ごめんね?昨日はサークルの打ち上げで…あんなに飲んだの初めてだったんだ」


眉を下げて、俺に言い訳をする美代。


サークルの打ち上げってことはあの男も同じサークルなのか?


『美代、アイツにはもう近付いちゃ駄目だ!』


「よしよし…ごめんね。次からは気をつけるね」


『~~~~っ!』


アイツは危険なのにそれが伝えられない。


申し訳なく笑う美代を見つめて俺はもどかしい気持ちでいっぱいだった。



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