この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
全てのダンボールがようやく運び込まれると、まだ汚いままの部屋に美代はいそいそと布団をしいた。


まさかとは思うが…




『おい美代、今から片付けするんだよな?』


「んん…おやすみぃ」


『………』



俺は絶句した。


こんな汚く埃だらけの部屋で寝れる奴の気がしれない。


伸太郎のいた今までの実家ではまず考えられない状況だ。


伸太郎はてきぱき働く親父だったから…


そして俺は思い出した。


そういえば実家は綺麗だったが美代の部屋だけはいつも散らかり汚かったことを。



『…………』


俺は仕方なくその辺に落ちていた雑巾で床を拭き始めた。


美代がしないなら、俺がするしかない。


うさぎの足でも本気を出せば床くらいは拭けるはずだ。


俺は美代のかばんから水のペットボトルを見つけると、なんとかそのフタを開けた。


パシャッと床にこぼれる水。


その上を乾いた雑巾で拭けば水拭きになる。




俺は汚いのは嫌いだ…!


< 9 / 513 >

この作品をシェア

pagetop