先見の巫女


『…〜〜〜!!』


すると青年は誰かの名前を呼んだ。必死に…手を伸ばして…。


その瞬間、青年の後ろには翡翠色の龍が姿を現した。


青年は龍に何度も何かを叫んでいる。見ているこっちの胸が張り裂けそうなほどに…


目をパッと開くと、気付ば涙が流れていた。


そんなあたしの頭を、晴明様は心配そうに撫でる。


「…涙が……あたし…」


分けも分からず涙だけが枯れる事なく溢れた。


ただ…悲しかったのだ…




< 11 / 216 >

この作品をシェア

pagetop