先見の巫女


――――――――


「んっ…あれ……」


目を覚ますと、赤い夕日に自分が照らされているのが分かる。


もう夕刻なんだ……


ゆっくりと体を起こすと、腰当たりに温もりを感じて視線を向けると…


「あ…星雪…………」


星雪はあたしにずっと付き添っていたのか、眠ってしまっている。


美しい銀色の髪が夕日に照らされキラキラと輝いている。


「綺麗な…朱…
まるで………」


―ズキンッ

「痛っ!!!?」


鋭い痛みが頭を過ぎる。


今…あたしは何を思った?
朱に染まる銀色の髪を見つめてあたしは…朱髪のあの人を……


―ポタッ…

「あたしは…あの人を…」
思い出したんだ…


涙が一雫、頬を伝って銀色の髪へと落ちた。






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