先見の巫女


「私達を神殿に閉じ込めていても、事は解決しないわ」


それどころか悪くなる一方だ。神達の間では地上を離れ、天へと住まいを変えようという話が出ている。


その為には力を捨て、ただの傍観者として天へ昇らなければならない。
肉体を失う事は力を失うのと同じなのだ。


魂のみで永久の時間を傍観者として存在し、人を見守る…


それが神達の出した答えだった…


勿論、それに反対の神もいる。自らの力を失うのは誇りを失う事だと…


「神も腐りおった…」


空から降ってくる声に顔を上げると、翡翠に輝く龍の姿があった。


「翡翠龍…
私は翡翠龍と話があります。
下がりなさい」


神官に目を合わさずそう言えば、神官はそそくさと自分の仕事へ戻った。


「…翡翠龍…
やはり私は人と神は違う道を行かねばならないと考えます。
このままでは…」


「互いに悪影響しかもたらさない…か…」



羽優の言葉の続きを、翡翠龍が続けた。


「えぇ…」


このままではきっと…
互いに滅び行く運命…







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