BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
ふと、疑問が頭をよぎる。
「何故ディックはここに?」
最強のコンビと言われた2人が、何故、こうして行動を別にしているのか?
そしてディックは、研究所ではなく、何故ここにいるのか?
思った事を口に出したにすぎないシュウ。
しかし、シュウの問いに、微かに顔を歪めるライナス。
何かを思い出すように、子供達を世話する2人を見つめ、遠い目をして話し出す…
「ディックは、ある少女を殺してしまったんだ…」
「少女を?」
「あぁ……それも、自分の目の前で…」
「!!」
2人の話を聞きに来たように、窓から入ってきた冷たい風は、彼らの紺色と赤い髪を撫でて行く…
その風を浴び、1つ溜息を吐くと口を開く…
マリンとディックの、ある過去を…
「昔、ここにある任務でやってきた2人は、突如現れたヘイトゥリッド・サロウから人々を護る為、非難させながら戦った。
だが、その数ははんぱなすぎで、倒しても倒してもきりがない…
いつもは冷静だったディックも、その時だけは焦って、あるミスをおかしたんだ…」
「ミス?」
無言で頷くライナス。そして続ける。
「俺達は、仲間が危険な状況であろうと、任務をこなさなければならない…
例え、仲間を失う事があっても…
だが、ディックはそれを無視した……人々ではなく、マリンを護ろうとしたんだ。
その一瞬の隙を、あいつらは見逃さなくて……
逃げ遅れた少女を、殺した……
ディックの目の前で、ほんの小さな、幼い少女が殺されたんだ……」
話し終えたライナスは、目を伏せる。
仲間の辛い過去を打ち明けた彼の心情を映し出すかのように、外界では、どこまでも続く空を厚い灰色の雲が覆い、今にも泣き出しそうに漂っていた…