BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

       ドスッ!


 「クッ……ゲホッ…」


遠くまで飛ばされ、屋敷の壁へと背をぶつけたマリン…

あまりの衝撃のあまり、血を吐く…



 「ハァ……ハァ……」

荒れる息…

青白い顔色…



彼女の状態は、あまりにもボロボロで、立っている事さえも、精一杯であった…


だが、サロウは、そんな彼女の事など、気にする事はない…


ただただ憎しみの為に、人々を殺すだけ…


その標的が、マリンとなっただけである…



ジリジリと距離を縮めるサロウに、どうにか拳を握り、今にも殴りかかれるように体制を作る


が…



視界が霞む…

じっと立ってられない…

力が…入らない…




 「……ディッ…ク……」


ふと漏れたその彼の名…


 「ハッ…!」

その名は、その人物は、今、マリンにとって胸を締め付けるような、そんな存在でしかなかった…


ディックは、あの時、マリンの目の前からいなくなった…

女性の人影と共に姿を消した…



いつもなら、何があっても助けてくれた彼なのに…

なのに…

どうして…?



“裏切り”

この言葉が、脳裏に浮かぶ…



ディック……嘘あるよね…そんなはず、ないあるよね……ディック……


彼が裏切るなんて、そんな事があるはずがないある…

そんな事…あるはず……


信じてる…

信じてるある…



彼を…
ディックを…
信じてるある…




でも、心のどこかで、彼を疑っている…



彼を信じきれていない…


信じなきゃ…

信じなきゃ…



ディック…


お願いあるよ…



姿を、貴方の顔を、見せて…





ディック……


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