BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

そんな中、南の塔を何とか通過し、ルリとライナスの2人は、走ってこちらに向かって来る…


勢い良く走ってきたものの、地面に横たわるディックと、彼を抱き締め、肩を揺らすマリンを目にすると、その足を止めた…


地面に作られた赤い血溜まりを目にし、息を飲む…


ルリは、その光景を見つめ、目を見開くと、手にしていた剣が掌から滑り落ち、音をたてて地面へと転げ落ちた…


カランッ…と、音もしないこの静寂の中、その音だけが、辺りに響き渡る…



その音に、ゆっくりと顔を上げるマリン…

涙で濡れた頬…
赤く腫れた目…

揺れる瞳で、3人の顔を見渡す…


そして、端に立つライナスへと顔を向けると、目を止めた…


助けを求めるように、震える左手をライナスへと差し伸べる…


 「ライナス……ディックが…ディックが……早く…治療を……」


赤く染まったその掌…


その掌は、彼女自身の血で染まったのか…
それとも、彼の血で染まったのか…

区別もできない程、真っ赤に染まっていた…




 「…ライナス……」

助けを求めても、手を差し伸べても、ライナスはやってこない…



どうして…
どうしてある…

ディックが苦しんでいるのに…
なのに…
どうして…



ジッと助けを求める瞳で見つめられ、ライナスは彼女から目を反らす…

そして…


 「俺は…神じゃねぇ……遠のいた魂を呼び戻す事は…できねぇ……」

 「!」


助けを求める彼女を…

苦しむ彼女を…

暗い、深い谷底に、突き放すようだった…


 「嘘ある…嘘ある……ディックは…ディックは生きてるある……生きてるあるよ!」


涙を流し、泣き叫ぶ…


 「ディックは…ディックは……」

何度も、何度も、自分に言い聞かせるように…


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