BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
「『全てを溶かす、熱き熱を我が右に……全てを燃やす、赤き炎を我が左に………』」
その呪文により、ライナスの右手には空気を揺らす熱い熱が…
そして左手には炎が現れる…
シュウの最も近くっ戦うライナス。
2人の周りは、緊迫した雰囲気が漂っていた…
ライナスは、目に見えない空気の壁を作り、相手の攻撃を避けていた。
攻撃を交わす間に、呪文を唱えるが…
相手が繰り出した攻撃によって遮られる…
相手は、宙に浮いた六角形の氷の結晶を、呪文を唱える事もなく、指を振って動かしている…
その小さな氷の結晶が、ライナスの作った壁を壊す…
それも、たったの一撃で…
「クッ……」
壁が壊れた事により、呪文を中断し、後方へと後退する…
呪文を中断した為、彼の側に存在していた、熱と炎が姿を消す…
クソッ…
今まで唱えた呪文が台無しだ…
相手は氷…
それを壊すには、炎が最適…
だが、呪文を唱えている時間などない…
ならば…
パチッと手を合わせ、相手を睨む…
すると、相手の周りに、円を書くように取り囲む小さな赤い炎が…
相手は動くこともなく、その炎を見つめ、そしてライナスへと目をやる
目があったライナスは、何かを企むかのように、ニッと八重歯を見せて笑った…
そして…
「『炎の精霊よ……我の力となれ……!』」
その言葉と共に、相手を取り囲む炎は強さを増し、一気に相手を襲う…
炎に覆われ、見えなくなった姿…
それを確認すると、早口に呪文を唱え始めた…
「『紅に染まる炎、風を纏いて、その姿を増す……』」
右手に現れた紅の炎が、どこからか吹いてきた風を纏い、その勢いを増して行く…
片手で抱えきれなくなった炎を両手で持つと、その炎をソッと宙に浮かべた…
「『風を纏いし炎よ、天の陽目指し、高く燃え上が……っ!!』」
天へと向かおう燃え上がった炎が、その姿を縮めていく…