BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
少年の説教は続く…
「貴方に任せた僕がバカでした。」
「そんな、自分を責めんなよ。」
何度も溜息を吐く少年に対し、両手を胸の辺りに挙げ、少年を宥めるように男性は言うが…
「どれもこれも、貴方のせいですよ!」
キッと睨まれ、ビシッと指を刺された男性。
何か攻撃を受けたように、後ろに一歩後ずさる…
「でも、終わったことをクヨクヨ言っても…な?」
「そうですね……なら…」
少年は、男性の前に立つと、彼を見つめた。
何事かとそれを見つめ返す男性…
「なら…?」
ごくっと唾を呑む…
それを見て、にっこり笑う少年…
そして、その笑顔のまま言い放つ…
「DRAGONの主、失格です。」
ペチッ…
「いっ……はぁ?」
意味不明な言葉と、額に感じた痛み。
少年は、男性の額にデコピンをしたのだった。
男性は少年に聞き返そうと、額を押さえながら見下ろすが…
もうそこには少年の姿はなく、いたと思われる地面の水の上に、波紋が残っていただけだった…
「やり逃げかよ…」
ボソッと言葉を漏らすと、男性は、仲間と思われる水色のローブを纏う3人の方へと体を向ける。
「ロリ、ジャスティ……っていねぇし……」
名を呼び、何かを言おうとしていたが、少年と同じくもうそこにはいなかった。
だが、ライナスと戦っていた相手の姿はそこにあり、ライナスの耳元で何かを囁いていた…
それを聞くライナスの表情は、驚いたかのように目を見開いていて…
その様子を見ていた男性は、話終わるのを確認すると、手を挙げて彼を呼ぶ。
「ウィルズ。」
「?」
声のする方へと顔を向ける男性。
細い目でその姿を確認すると、彼に返事を返すように手を挙げ、そして何も言わずに姿を消した。
取り残された男性の横を、寂しげな風が吹き抜けた…
「……いやぁ…お前まで行くか……?仮にも、今は俺が主だぜ……」
仲間に置いて行かれ、ショックを受けたかのようにダランと肩を落とすのだった。