BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
太陽が町を照らし、花壇に植えられた花々が綺麗に咲き誇る。
水の流れる音が、心を癒すように耳に入ってくる。
4人の後ろを歩くライナスは、未だ下を向いたまま…
グシャグシャッと赤い髪をかいた。
クソっ…
クソっ…
グッと拳を握る。
彼は、戦いの後、相手に言われた言葉について考えていた。
俺は…
俺は……死ぬなんて…そんな覚悟…ねぇ…
死ぬ覚悟…
ライナスは、あの時、
‘DRAGONの護衛は、命懸けで主を護らなければならない。その覚悟がないならば、護衛、失格だ。’
そう、相手から囁かれたのだ…
命を懸けて、主を護る…
死んでも、主を護る…
死ぬ為に生き、死ぬのを待つ…
そんなの……
そんなのって……
「死ぬなんて…できねぇ……」
ボソッと言葉を漏らしたライナス。
「?」
元気のないライナスを気にしていたマリンは、何かを囁いた事に気づき、ライナスの横に並んだ。
「ライナス、どうしたあるか?」
「…」
心配そうに声をかけるが、顔を伏せたまま、質問に答える様子はない。
「ライナ…」
どうしたのかと肩に手を乗せるマリン。
その肩は微かに震えていて…
すぐさま手を離す…
「…死ななきゃ…なんねぇのか…?」
消え入りそうな声で問うライナス。
苦しそうに…
辛そうに…
異変に気づいたルリも、後ろに下がり、ライナスの横に並ぶ。
マリンに、どうしたの?と目で問うが、マリンは頭を横に振るだけ…
何があったと言うのだろう…
ルリがどうしたのかと口を開こうとした時…
「…2人は…知ってたんだろ…?」
「「?」」
突然顔を上げ、2人を睨んだのだ。
いつも柔らかい顔のライナスが、見た事のない、怒りを含むような瞳を向けた事に、2人は戸惑いながらも、次の言葉を待つ…
「お前らは、知ってたんだろ?命を懸けなきゃなんないって事……死ぬ為にここにいるって事……」
「「!」」
死…
そんな言葉が彼の口から出るとは思わなかった…