BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
死ぬ為にここにいる…
死ぬ為に生まれてきた…
それが、自分にかされた指名…
とっさに目を反らす2人…
その反応で納得したように、ライナスは爪が食い込む程に拳を強く握った…
「そうなんだな……俺だけ、知らなかったんだ……」
「それは……」
わかっていたから…
彼が、死に敏感で、死を恐れている事も…
死ねない理由も…
何とか説得しようと心見るが、ライナスは訊く耳を持つ様子もなく、前を歩くシュウへと近づいた…
そして…
「シュウ……」
「?」
背後から声をかけられ、振り返るシュウ。
そこには、顔を伏せ、微かに身を振るわせるライナスの姿があった。
いつもと違うライナスの様子に、眉を寄せるシュウ。
「俺……」
「…?」
「俺……死ねねぇんだ…」
ニッと微笑み、八重歯を覗かせる…
いつもの笑顔…
だが、
どこか苦しそうで…
どこか辛そうで…
痛々しかった…
「ごめんな……ごめん……」
「ライナス……?」
何度も謝ると、シュウの顔を見る事もなく、走り去っていった…
何が何だかわからなかった…
死ぬ…?
俺の為に…?
どうして…?
彼が走り去り、シュウの体に吹き付けた風は冷たく、刃を持つように、体中を傷つける…
仲間を失ったような、心に開いた大きな穴…
グッと胸の辺りを押さえ、痛みに耐える…
思考が停止していた…
ライナスがいなくなったという事実を受け入れたくないから…
真実を、拒んだ…
彼がいないという事実を…
いなくなるなんて、思ってもいなかったから…
こんな事が起こるなんて、思ってもいなかったから…
だから…
先程まで晴れ渡っていた空が、シュウの心を写し出すように、暑い雲が覆って行った…