BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
ラルフは一度座り直すと、シュウをしっかりと見つめ、話し出した。
「俺達DRAGONを護る者達には、言い伝えみたいな物があってな。」
「言い…伝え…?」
「あぁ。」
シュウの問いに答えると、何かを思い出すように、遠い目をした。
「【強力な闇が生まれた時、この世を救うべく、漆黒のDRAGONを宿す者が生を受ける。希望となる1つの光が……
そしてその者を護る為、3人の選ばれし者が現れるであろう。】」
漆黒のDRAGONを宿す者…
3人の選ばれし者…
それはシュウ達4人を示している。
希望となる光……シュウ…
そしてその光を護るルリ、マリン、ライナス…
「【選ばれし者は、漆黒のDRAGONの主を護り、闇を裂く力となるであろう。
3人は主を命を懸け護り、死してなお護り続ける。
死を持って生まれ、何時も死を目前に生きる。主の為に、主を、世を救う為に。死ぬ為に生を受けるであろう。】」
ラルフを見つめる紺色の瞳が、ゆっくりと見開かれていく…
死ぬ為に生まれた…
死ぬ為に今ここにいる…
主を護る為…
命を懸けて護る為…
仲間を失い、最後に残るのは…
俺だけ……
ラルフは目を見開くシュウの紺色の瞳を真っ直ぐと見つめる。
「【そして主は、3つの命と共に生き、闇に打ち勝つ力を有す。
主はこの世に光を導き、闇から救うであろう…】」
残酷だった…
それが真実だなんて…
死ぬ為に生まれてきたなんて…
そんなの、残酷すぎる…
世界を救ったとしても…
闇に打ち勝ったとしても…
共に戦い、共に生きてきた仲間を失うなんて…
そんな…
そんなのって…
酷すぎる…
酷すぎるよ…
沈黙の、張り詰めた空気が、シュウの心を締め付ける…
膝の上に置いていた拳を、グッと握り締め、何かに耐えるかのように歯を食いしばる…
彼の心はズタズタで、何者かに刃物で斬りつけられたようだった…
残酷な真実…
死を受け入れる3人の選ばれし者…
全て、変える事はできない…