BLACKNESS DRAGON ～希望という名の光～

何を言おうと、何度否定しようと、ラルフは意志を曲げようとしない。

ただただ、ライナスを連れていくなと言うだけ…


ルリとマリンの言葉を聞き、再び口を開こうとするラルフだが…



　｢生きれば、いいんだ。｣


闇を照らすような声が響いた。




何かを決意し、強い意志のこもったその言葉…

一斉にその言葉を発した者へと顔を向ける。


その先には、窓から入ってきた風を浴び、紺色の髪を揺らしながら、何の淀みもない瞳で皆を見つめるシュウの姿があった。


　｢死ぬ為に産まれてきた人間なんていない。人間は、生きる為にここに生を受けたんだ。
ルリも、マリンも、ライナスも、死ぬ為に今ここにいる訳なんかじゃない。
生きるんだ。闇に打ち勝ち、生きるんだ。｣


闇の中、二つに光る紺色の瞳…

強い意志と強い決意を含んだ彼の周りには、どこからか差し込んだ光が当たっているかのように輝いていた…



　｢だから、生きればいいんだ。死ぬ為に戦うんじゃなく、生きる為に戦う。
ライナスが、その事に気づいたら、彼は絶対戻ってくる。必ず。｣

　｢シュウ……｣



暖かかった…

彼の心は、太陽のように暖かかった…

触れていなくても、ただ、側にいて、彼の言葉を、心を見ればわかる…


初めてだった…
こんなに暖かい心に触れたのは…
産まれて、初めてだった…


仲間を信じ、仲間を信頼する彼の綺麗な心の内に触れたかのように感じたルリは、伏せていた目をシュウに向け、ジッと彼を見つめていた





闇の中、紺色の輝く瞳と、茶色の潤んだ瞳が見つめ合っていた…

瞬きすらしていない程、ずっと…


そんな静かな時の中、場の雰囲気を壊すかのような声が飛び交った。


　｢よく気づいたなぁ。この野郎っ！｣

　｢ぇっ？！｣

鋭い表情だったライフは、何があったのか、ニッコリと笑い、シュウの頭をクシャっと撫でていた。

そんなライフの行動に驚いたシュウは、頭を撫でるラルフを見上げる。



　｢俺はその言葉を待っていた！｣

　｢えぇっ？！｣


意味が分からないシュウ。

それなのに彼は話をどんどん進めていって…