BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

ルリは戦うシュウへと目をやる…


シュウは、ルリを見つめていた…

哀れむような、そんな目で…



 「止めて…そんな目で見ないで……」


一粒の雫が、彼女の頬を伝った…



 「もっと、苦しめ。」

それを見たローランは、何かを企むかのように笑い、髪を引っ張ると、遠くに突き飛ばす…



 「うっ…くっ…」


地面に打ちつけられ、顔をあげると、彼女の瞳に、一本の剣が映った…


それは、彼女の、大切な、手放す事のできない、剣…


彼女はその剣を見るなり、無意識に手を伸ばす…

膝をついたまま、震える手だけを伸ばし、その柄を掴もうとする…



が、その手は、ピタリと止まった…

そして、彼女の瞳は、大きく見開かれていた…


彼女の見開かれた茶色い瞳に映っていたのは、真っ白な、小さな人間の足…


揺れる瞳を、ゆっくりと上げる…

その人物を確かめるべく…


その先を見たくないという気持ちもあった…

見てはいけないと…
心が叫んでいた…

でも、止める事はできなかった…


その人物を、その顔を、見てしまった…



顔を上げたルリは、更に目を見開く…

見覚えのある、ここにいるはずのない人物を見て、目を見開いていた…


ルリの見つめる先にいたのは…


彼女によく似た、茶色の長い髪をした、小さな女の子…

ルリを、そのまま小さくしたような、そっくりな、女の子だった…


 「お姉ちゃん…」

その女の子は、ルリを見つめると、消え入りそうな細い声で、そう呼んだ…

彼女に助けを呼ぶように…

苦しいと、訴えてくるように…


その声を聞いたルリは、瞳に溜まっていた涙が、一気に溢れ出した…

ボロボロと、大粒の涙が次々と溢れ出てくる…

濡れた頬…

地面に落ちる雫…


彼女は、女の子を見つめ、口を開く…


 「ルリ…」

と…



彼女の溢れ出れ涙は、止まる事はなかった…

その涙は、彼女が負った、心の傷…


目の前に現れた女の子が存在する今、彼女の名はない…

存在する場所を失う…


彼女は、闇に埋もれてゆく…

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