BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
どの位、こうしていただろう…
どの位、彼女を抱き締めていたのだろう…
彼女の瞳から、涙が消えた頃、シュウはそっと彼女の肩に手を置くと、ゆっくりと身を放し、彼女の顔色を伺う…
涙で濡れた頬…
赤く腫れた瞼…
胸の前にある小さな掌は、微かに震えていた…
涙は止まっているものの、彼女の瞳は虚ろで、光がなく、どこか一点を見つめていた…
立ち上がろうとも、身動きを取ろうともしないルリを見て、シュウは彼女の手を取り、小さな体を軽々と持ち上げ、彼女を背負った…
何をされようと、何が起ころうと放心状態の彼女は、彼の大きな背におとなしく収まった…
そして、彼の肩に顔を埋めたのだった…
「……目的地までは、あと少しだ。急ごう。」
「…お、おぅ。」
彼女を背負い、状態を確認すると、シュウは近くで立ち尽くしていたマリンとライナスに言う。
その言葉を聞き、ライナスはとっさに返事をし、マリンはコクリと頷くのだった…
目的地、研究所へと向かう4人。
その足は、その場から逃げるかのように、速まっていた…
紺色の瞳で、前だけを見つめ、足を止める事なく歩み続けるシュウ…
体を震わせながら、子供のようにシュウの背中に収まるルリ…
泣き続けていた彼女を気にしながら、シュウの後を追うライナス…
拳を握り、何もできなかった自分に対して怒りを持つマリン…
行動は違っていても、彼らの気持ちは同じである。
もう、仲間を傷つけたくないと願う心…
これ以上、苦しめたくないと思う気持ち…
そして、
闇を許さないという想い…
その気持ちは、変わらない。
彼らの姿は、戦いの傷が残る地から、見えなくなってゆく…
その地では、ザワザワと木々が揺れ、小鳥達が舞い戻ってきていた…
灰色の重い雲から覗いていた太陽は、姿を現し、灰色の雲は姿を消していた…