BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

 「彼女がまだ小さい時だった。私達は、彼女を保護しようと探してたの。」

 「保護?」

 「えぇ。DRAGONの魂を宿す者として…」



漆黒のDRAGONの魂を宿す者…

彼女は、苦痛を浴びてきたのだろう…

俺と同じように…

そして、俺も彼女と同じように、ここに保護された…



 「探し始めて数日、彼女はこの近くの林の中で見つかった。どこも人の手が加わっていないその地。

でも、一部だけ、何者かに伐り取られたように木々が消え、その中心に彼女はいた。

地面に倒れ、震えてた……天を向いた、大きく見開かれた瞳からは、ポロポロと涙が零れ……泣く事を知らない子供のように、声を出さずに泣いてた……」



カナメが話す事は、まるで先程のルリの状態と似ていた…

余りにも似すぎて、その光景が頭に浮かんでくる…


涙を流し続け、苦しむ彼女の姿が…



 「そんな彼女の心と体はズタズタで、見てられなかった……あの日から、あの日から彼女の心は、傷だらけだった……癒える事のない、心の傷……」



癒えない、深い、深い、心の傷…

彼女の心はズタズタで、悲鳴を上げていた…

その傷を、誰にも打ち明けず、彼女は、1人で背負ってきた…



 「ルリの身に、何があったんですか…?」


何が何だかわからない…

彼女の身に、何が起きたというんだ…



シュウは、カナメを見つめ訊いた。

強い意志を含む紺色の瞳で…

どこか怒りや悲しみを含むそんな瞳で…


そんな瞳をしっかりと見つめ、カナメは彼の問いに答える。


 「闇の者と、戦ったのよ。」

 「!?闇の者と…」

 「そう。それも、1人で…」


1人で…

闇の者と…


幼い彼女が、死を恐れずに、戦ったというのだろうか…

死を覚悟し、戦ったというのだろうか…



 「闇の者は、彼女を殺さなかった。何故かはわからない。でも、闇の者は、彼女に苦しみを与えた……」

 「苦しみ……?」


彼の問いに、カナメは無言で頷き、話し続ける…

眠るルリに悲しそうな瞳を向け、茶色の髪をそっと撫でながら…

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