BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

長は、その記憶を思い出させるかのように、続ける…

何の感情もない、その瞳で…


 「DRAGONが暴れ出したら、ルリだけではなく、ここにいる者全ての者達が、死ぬ事になるのですよ。」

 「!!」


皆が、死ぬ…


シュウの頭の中に、ある映像が飛び込んできた…

思い出したくない、過去の映像が…



赤い炎…

燃える町…

崩れた家々…

悲しみの涙…

苦しみの声…

助けを求める掌…

血で描かれた赤い模様…

真っ赤な血溜まり…

恐怖の悲鳴…

鋭い瞳…

憎しみの眼差し…



全てが…

鮮明に…

目の前に、映し出される…


体が震えた…

その場から逃げ出したかった…

なのに、体は動かない…

その苦しみから、逃さないと、何者かに捕まれているように…



肩で息をするシュウを見て、長は初めて悲しそうな顔を見せた…

そして、話を続ける…



 「1つの命と、数え切れない沢山の命、どちらが大切か、おわかりですね?」



ルリの命と、皆の命…

どちらを救うべきか…


言えなかった…

どちらが大切だなんて…

どっちを捨てるべきだなんて…

言えなかった…



 「世界を救うには、1つの命を捨てなければならないのです。」



聞きたくなかった…

そんな言葉…

彼女が確実に死ぬと、言っているも同然…


目を伏せ、グッと拳を握る…

自分の無力さに、苛立ちながら…

彼女を救えない…

彼女の死は、変えれない…



拳を握るシュウを見ると、長は不意に立ち上がり、太陽の覗く窓辺へと歩いていった。

そして、シュウに背を向け、窓の外に目をやりながら言う…


 「ルリを、助けたいのですね?」

 「……」

 「もしも、ルリが生きたいと願うならば、奇跡が起これば、ルリは助かるかもしれません。」


その言葉に、勢い良く顔を上げるシュウ。

紺色の瞳は、希望からか、大きく見開かれていた。

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