BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
紺色の髪をした、何かを決意したかのような瞳を持つ少年、シュウは、長の部屋を後にすると、どこかへと歩を進めていた…
長く続く直線の廊下。
人々の姿はなく、静かに時が過ぎていた。
廊下を歩く中、治療室の前を通る。
その中では、大勢の人々が何か作業し、忙しそうに汗を拭う。
静かな廊下と、賑やかな部屋。
まるで、世界が違うように感じられた。
治療室の前を通り過ぎ、更に先へ進む。
その足が進む先は、決まっていた。
歩を進めて行くと、ある部屋の前で足を止める。
シュウは、数秒その場に立ち尽くし、何かを決意したかのように、その部屋に入っていった。
「ルリ…?」
部屋へ入るなり、名を呼ぶが、返事はなく、静まり返っていた…
誰もいないのだろうか…
ルリが眠っていたと思われるベッドには人影はなく、真っ白な毛布はめくれていた。
部屋の主がいないという事で、退出しようと扉に手をかけるが…
カタン…
「?」
何だろうと、その音の方へと振り返ると、ベッドの横の棚に立て掛けておいた彼女の剣が床へと転がっていた。
「…」
シュウは、伸ばした手を止め、その剣へと手を伸ばすと、そっと立て掛ける。
そして、再び立ち去ろうとするが…
「?」
身を起こした時にふと目に入った物。
棚の上には、様々な写真が飾ってあるが、1つだけ、故意に伏せたかのように倒れている写真があった。
いつもなら、気にかけないのだが、何故かその写真が異様に気になり、手を伸ばしていたのだ。
伏せられた写真を表に向けると、その写真を見つめた。
その写真には、2人の人物が映っている。
茶色い髪をした、真っ白なワンピースを身に纏った小さな女の子。
そして、その子を腕に抱える、茶色の瞳の男性。
2人は共に幸せそうに笑い合っていた。
「ルリの妹と…ルリの父親…」
そう、その2人の人物は、ルリの妹と、父親…
彼女達は、キラキラと輝いていて、とても幸せそうだった…
だがその中に、ルリの姿はない…
彼女の姿は、幸せなその写真の中に、存在しなかった…