BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

ある個室のベッドの中。

その中で眠る1人の少年は、何か懐かしい匂いに目を覚ます。


ゆっくりと目を開くと、真っ白な天井を見つめたまま何度かまばたきをし、霞む視界を整える。



視界がしっかりとしてきた所で、彼は顔を横へ向けた。



そして掠れた声で名を呼ぶ。



 「……姉…貴………?」


彼の側には、自分と同じような髪色をしたセミロングの女性が、椅子に座りベッドに顔を伏せて眠っていた。


彼女は名を呼ばれ、疲れたように声をあげながら身を起こす。


のびをして目を擦ると、ベッドの中の少年がこちらを見ている事に気づき、驚いたように立ち上がった。




 「ライナス!?」


 「んだよ……大声出すなよ………」


甲高い声で叫ぶ彼女に、彼は迷惑そうに眉を潜めた。

そして身を起こそうとするが…



 「…っ……」


腹部を抑えて再びベッドに倒れ込む。

触れた所には何十にも包帯が巻かれている。


その包帯を見て、あの戦いの事を思い出した。




 「無理ばっかして……あんた危険な状態だったんだからね。

魔力も何かに吸い取られたようになくなってたし、息してるかもわかんないぐらいぐったりしてて………

あんたまで失うんじゃないかって、いなくなるんじゃないかって、心配したんだから………」



悲しそうな瞳をするカナメを見て、ライナスは言葉を失う。






 「……ごめん………」


そう一言呟くと、彼女から顔を背けた。





 「所でさ、」


椅子に腰掛けると、何事もなかったように話を切り出すカナメ。


その彼女の瞳からは悲しみの色は消え、いつもの色を取り戻していた。




 「マリンの事何だけど、あんたと一緒にいた?」


 「は?いや、一緒じゃねかったけど?」


 「そう……」



ライナスの言葉に、何か考えるように目を細めた。

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