BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
綺麗な歌声が響き渡り、風に乗って消えた頃、床に座り込んだライナスは、扉に背をつけ力無く目を瞑っていた…
その顔色はとても悪く、苦しそうに荒い息を吐いている…
両手を胸の前に組んで歌っていたキュアは、そんな彼を見下ろすと困ったような顔をする。
《回復しきれていない魔力で私を召喚するなど、何を考えているんでしょう、我が主は。困った御方です。》
そう言いクスリと笑うと、宙に浮いたまま体を曲げ、目を瞑る彼の額にそっと触れた。
綺麗な声で何か呟くと、暖かなオレンジ色の光がライナスを包み込む。
数分すると、苦しそうだった顔色は大分よくなり、荒かった息づかいも穏やかになる。
静かに眠る彼の姿を見ると、彼女は血で描かれた複雑な魔法陣の上に移動し、最後に一度だけ頭を下げると、オレンジ色の光を放ち姿を消した。
眩い光が消えた頃、皆の様々な声が聞こえてきた。
その声に、皆の笑顔が頭に浮かんでくる。
人々の喜び溢れた声に、目を瞑るライナスは微かに笑ったように見えた。