BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

木々が立ち並ぶ、緑豊かな町。

背の高い広葉樹や、身の細い針葉樹が家々の周りを取り囲む。

果実が色付き、草花は陽を見上げていた。



どこを見ても緑が目に入るその町の中、3人の人物が道を歩いていた。



その中で一番年下だと思える、独特な形のペンダントを首にかけ、銀色の長い髪に緑と白のメッシュの入った女性は、辺りで遊ぶ子供達に目を向けると笑顔を見せた。


彼女の隣に並ぶ、女性のネックレスと同じような形の指輪を中指にはめた黒髪の男性は、笑顔の彼女を見て微笑みを見せる。


2人の数歩前を歩く、茶色の短い髪を無理矢理結び、2人と同じような形のブレスレットをクルクル回す男性は、後方の2人を見守るように後ろ向きに歩いていた。






 「リョク…」


 「ん?」


黒髪の男性は隣の女性リョクに声をかけ、彼を見上げたリョクの頭を無言でくしゃっと撫でた。





 「どうしたの、ハルク?」


 「いいや……」


乱れた髪をときながら、黒髪の男性ハルクに問うが、彼は笑っただけで何も言わない。


そんな彼を見て、リョクは頭の上にハテナマークを浮かべるのだった。


2人のやりとりを見ていた茶髪の男性ダイは、ムッとしながら指で回すブレスレットのスピードを上げる。




その時、彼は小さな石に足をつまづけバランスを崩すと、人差し指で回していたブレスレットはどこかへ飛んでいってしまった。






 「ぬあぁっ!」


飛んでいくブレスレットを掴もうと手を伸ばすが、それは彼の手から逃げてゆく…



彼はそのブレスレットを逃がすまいと勢い良く振り返る。



だが、走り出そうとした時には、何者かがそれをキャッチしていた。




こちらに背を向け1人でブランコに腰掛ける、オレンジ色の髪を高い位置で2つ結びにした女が、振り返る事なく片手を上げてブレスレットを掴む。






 「助かった。ありが……」


ホッと胸を撫で下ろし彼女へと駆け寄るが、ダイは彼女の顔を見た所で足を止めた。

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