BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
「ダイ?」
「ん?どうした?」
2人は目を見開いて女を見る彼を不思議そうな顔で見つめ歩み寄る。
だが、彼は左腕を横に出し2人を制した。
いつもと違う彼の様子に、眉を潜めブランコに腰掛ける女へと目を向ける。
3人に見つめられる女、サラはキャッチしたブレスレットを投げて遊びながら、何か企むように笑っていた…
その嫌味な笑顔に、血の気のない青白い肌…
「……闇の者!」
サラを観察してそう叫ぶと、ダイはリョクの前に両手を広げ立ちはだかり、ハルクは隣で威嚇するように睨みつける。
2人に護られるような形になったリョクは、胸のペンダントを握り締めた。
「お待ち下さい。」
戦闘態勢をとる3人を見て、サラは片手を挙げそう言った。
何を言っていると、態勢を崩す事なく睨み続ける…
「話を聞いて頂けませんか?」
今度は何もしないと両手を挙げて立ち上がると、ブランコから離れ3人に歩み寄る。
彼女が一歩近づく度彼らは後退り、その距離は縮まる事はない。
「私はDRAGONを潰しに来ただけです。DRAGONの主を渡してくれれば、無駄な血を流させたりしません。」
両手を挙げたまま歩んでいたが、彼女は足を止めそう言うと、右手をこちらに差し出した。
主であるリョクを渡せという意味だろう。
「ふざけた事言ってんじゃねぇ!」
「誰が渡すかよ…」
2人はリョクを護ろうと彼女を背に隠す。
「フーン……仕方ありませんね……」
聞く耳を持たない彼らを見て呆れたように溜め息を吐くと、主を護ろうとする2人を鋭く睨みつけた。
鋭い瞳に怯みながらも、2人はリョクを護ろうと必死だ。
護られるように背後に隠れたリョクは、ペンダントを握り目を瞑る。
「《世の幸福を願うDRAGONよ、その力我借りん………》」
背後からのその声に、ダイとハルクは彼女をチラリと盗み見ると、サラにバレないよう微かに笑みを見せた。