BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

一体何が起こったのかと眉を寄せ地を睨んでいると…



 「……っ…!」


何かが肩に触れ、何だろうと振り返ろうとするが、その前に力強く前に押された…

バランスを崩しながら振り返ると、彼の目にサラの姿が映る。

彼女はハルクの肩を押し勢いをつけると宙を翔てゆく…




身軽に宙を翔る彼女をポカンと口を開けるダイの頭を蹴り、更にその勢いをつける。


頭を蹴られムッとし彼は、翔てゆく彼女にダイナマイトを投げつけた。

そのダイナマイトは彼女に当たる事なく爆発すると、辺りを煙で覆い尽くしてゆく…




 「馬鹿!何やってる!」


闇雲にダイナマイトを投げ、視界を悪くした張本人を怒鳴りつけながら、ハルクは辺りを見回しサラの姿を探す。




目を細め辺りを伺っていると、目の前に人陰が現れた。


こちらに気づいていないのか、その陰は逃げようとしない。



動かない陰に、ハルクはゆっくり音を立てずに歩み寄ると、獲物を仕留めるべく素早く針のような刃を突き刺した…




 「……ぅっ………」



何かを刺した感覚が体中に伝わってゆく…

突き刺した刃には赤い液体が流れ、彼の拳を染める…




敵を仕留めたと自信に満ちた表情を顔に浮かべるハルク。


煙が風に乗って薄れていく中、彼は刃の餌食となった人物の顔を見た瞬間、驚いたように目を見開いた…



胸を刺され、体中を真っ赤に染めるその人物は…





 「………リョク……………」


蚊の鳴くような弱々しい声でそう言うと、ハルクは体から力が抜けたようにだらんと腕を下ろした。


すると指輪から伸びていた刃は姿を消し、その刃に刺されていた彼女は地に倒れる…





 「ご苦労様です。」


リョクが視界から消えると、彼女の後ろにいたサラの姿が現れた…

サラは微笑みそう言うと、ハルクに礼を言うように頭を下げる…



地に倒れた彼女は虚ろな瞳で天を見つめ、胸からはドクドクと大量の血が流れ…

流れた血は辺りに広がり、この地を真っ赤に染めてゆく…

その血は彼女の長く綺麗な銀色の髪をも真っ赤に染めた…

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