BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
まるで時間が止まったかのように、静かに時が流れる…
「………リョク!」
その一部始終を見ていたダイは、ハッと我に返りリョクに走り寄る…
彼女の傍に膝をつくと、そっと肩に触れた。
「リョク……」
優しく名を呼ぶと、彼女は視点の定まらない瞳をダイへと運び、悲しそうな顔をする…
小刻みに唇を震わせながら、彼女は何か言おうと口を開く…
「………DRAGON……が…………」
掠れた声でそう言うと、握り締めていたペンダントへと視線を下ろす…
彼女の掌に弱々しく握られたそのペンダントにはひびが入り、欠けている部分もある…
それを見たダイは、悔しそうに唇を噛みながら目を瞑った…
目の前の現実から逃げるかのように…
弱々しかった息は途絶え、潤んだ瞳を隠すように目を閉じる…
ひびの入ったペンダントは音を立てて砕け散り、それと共にリョクは息を引き取った…
目を瞑り、眠っているような穏やかな表情…
彼女の綺麗な髪を撫でるが、その瞳はもう開く事はない…
「…お前………」
ダイは顔を上げ、目の前で何もなかったかのようにリョクを見下ろすサラを睨みつけた…
その瞳は怒りに染まり、握った拳はわなわなと震えている…
「ちょっと待って下さいよ。私は何もしていませんよ。」
ダイに睨まれ、サラは肩を潜めてみせる。
確かに、彼女が言った事は間違いではない…
リョクを殺ったのは………
ダイは背後に立ち尽くすハルクを盗み見しながらも、サラを睨み立ち上がる。
「うっせぇっ!お前がリョクを殺したんだ!」
そう叫びながら、サラに殴りかかろうと力強く地を蹴る…
棲ました顔の彼女に、ダイは拳を振り上げた…
灰色の厚い雲が辺り一面に広がり、青い空を覆い尽くす…
先程まで晴れ渡り、眩い太陽が緑溢れるこの地を照らしていたのに、いつの間にかその姿は消え去り、闇が辺りに広がっていた…