BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
大丈夫だろうかとハルクを威嚇しながら近寄ろうとするが…
マリンは一歩足を進めた所で動きを止め、そして逃げるように後退る…
彼女の瞳には、ダイナマイトを両手に握り、虚ろな瞳を彼女へ向けるダイの姿が映っていた…
「ど、どうしたあるか……?」
彼女は数歩後退りながら訊くが、ダイもハルクも答える事はなく距離をとる彼女を虚ろな瞳に映していた…
ダイは数本のダイナマイトを放ち、ハルクは地を蹴りマリンに斬りかかる…
飛んでくる数本のダイナマイトを上体を左右に揺らしながら逃れ、振り下ろされた刃を身を捻りながら交わす…
彼の素早さに驚きながらもマリンは何かおかしいと眉を潜める…
斬りかかってくるハルクのスピードは確かに速い…
だが、どこかぎこちなくて、異様である…
まるで、目に見えない何かに操られているかのように…
何が起こっているのかと考えながら攻撃を交わしていると、ハルクの突きがマリンの頬を捕らえた…
「…っ……」
突き出された刃が左頬を掠り、長い線を形作るとそこから血が流れる…
左目を閉じながら痛みに耐え、低く構えながら次の攻撃を待つ…
だが、構えた時にはハルクの姿は消えていて…
驚きながらもいつ彼が現れても大丈夫なように警戒しながら左右を見回していると、背後で何者かが動く気配を感じた…
素早く振り返るが、その時には既に遅く、ダイが放ったダイナマイトを真正面から受けてしまう…
腕を顔の前でクロスしながらその攻撃を受け、モクモクと立ち昇る煙の中苦しそうに咳きを込む…
細めた目に涙を浮かべながら辺りを伺うと、細い刃を斜め下に構える人物のシルエットがこちらに向かって来ていた…
逃げようと一歩後ろへと下がるが、微かに感じた焦げ臭い匂いに足を止め、睨むように首を捻り背後に何者かがいる事を確認…
「挟まれたあるか………」
そう呟くと悔しそうに顔をしかめた…