BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

いつの間にか灰色の雲はその厚さを削り、うっすらと青い空が覗いていた…


雲の隙間から漏れる陽の光が、決意を秘めたマリンの体に降り注ぐ…




風が吹き荒れる中、威嚇し合うように睨み合う2人…



先に動きを見せたのはマリンだった…



力強く地を蹴ると低い体勢でダイとの距離を縮めて行く…


スピードを上げていく中、ダイは両手に握っていたダイナマイトを乱暴に投げつける…



いくつものダイナマイトを交わし接近したマリンは拳を引き思いっきり突き出す…


風を切り、目にも留まらぬ早さで振るわれた拳は確実に標的を捕らたと思われた…



しかしその拳は空をさまよい、勢いに乗った体はバランスを崩してしまう…



倒れそうになりながら何とか耐えたマリンは、拳を交わしたダイの姿を捜そうと振り返る…





だが、その瞬間…




 「……ぃっ………」



隣から突然伸びて来た腕が彼女の長い黒髪を力強く引き、更にバランスを崩した彼女の肩を乱暴に押し突き倒す…


思いもしなかった出来事に対応できなかったマリンは、地に思いきり背をぶつけ顔を歪める…



そんな彼女は痛みに耐えながらすぐさま立ち上がろうとするが、それを止めるように彼女の上にまたがると襟を掴む人物が…



彼女は襟を握る腕を掴み抵抗するが、虚ろな瞳で彼女を見下ろすダイは放そうとしない…




ダイの力強さに驚きながら、ふと空を見上げた彼女は更に大きく目を見開く…




見開かれた彼女の瞳に映ったのは、天から降り注ぐ無数のダイナマイトだった…




ダイを押し退けようと必死にもがくが、彼はマリンを地に押さえつけ逃そうとはしない…




無表情のダイと確実に近づいてくるダイナマイトを交互に見つめながら、マリンは悔しそうに歯を食いしばる…




迫って来た無数のダイナマイトは次々と爆発し、2人の姿を煙の中に隠したのだった…




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