BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

町中に響く爆音と、モクモクと天を目指す灰色の煙…




 「……っ…ハァ…ハァ……ハァ………」



立ち上る煙の中から姿を表した黒髪の少女マリン…


彼女は腕を押さえ苦しそうに体全体で息をする…




そんな彼女の体は傷だらけで、押さえた腕からはダラダラと大量の血が流れ出る…


瞑った右目は何かに引っかかれたような斜めの傷があり、その傷からは涙のように赤い雫が流れていた…







煙が舞い上がり、風に乗って消え去る頃、地に倒れていたダイがゆっくりと立ち上がり、虚ろな瞳でマリンを睨む…


そんな彼の体も傷だらけで、傷口から止めどなく血は流れ出る…







互いに怪我を負ったのは爆発と同時の出来事だった…



爆音と共に破裂したダイナマイトの中から何かが飛び散り、四方八方に散ったそれは無差別に2人を傷つけた…






ダイの足元に散らばる鋼色の小さく鋭い物体…


その小さな刃物のような物体がダイナマイトに仕込まれていたようだ…








再びダイナマイトを握るダイを見て、マリンは腕から手を放し体勢を低くし構える…



痛みに耐えながらグッと拳を握るが、彼女の心はモヤモヤしていた…




もうこれ以上彼を傷つけたくないという想いと、彼を悪に染める前に殺らなければならないという心の迷い…


2つの想いが交差して、彼女の思考や身体までも動かさなくする…



それでもどちらを選ばなければならないかは決まっていて…


嫌でも前者の気持ちを押し潰さなければならないのだ…


一度目を瞑り頭の中の色んな想いを振り払い、ゆっくりと深呼吸をし心の迷いを追い払う…



そして彼女は全ての迷いを捨て、決意したように地を蹴った…



< 371 / 397 >

この作品をシェア

pagetop