BLACKNESS DRAGON ~希望という名の光~

顔を伏せダイの顔を見る事なく近寄ると、ダイナマイトを持つ腕を蹴り上げる…


武器はダイの手から離れ宙に舞い、武器を手放した腕は宙に舞う武器を掴もうと漂う…



そのほんのわずかの隙にマリンはダイの懐に入ると、腰に刺してあった短剣を奪い取った…


マリンの動きに気づいたのか、ダイナマイトから目を離し彼女へと顔を向ける…


が、彼女はダイが動きを見せる前に彼の肩を掴むと腹に膝で重い蹴りを入れた…



苦しそうに唸りながら微かに浮いた身体…


それがチャンスだとマリンはクルリと身を回転させ勢いをつけると、脇腹を狙って回し蹴り…



防御する暇もなくマリンの蹴りを受けたダイは近くにあった木に背をぶつけた…





虚ろな瞳をしたまま顔を歪めると、木の幹に背を伝わらせ地に倒れゆく…




だが、彼の足が地につくと同時に近づいたマリンが首を掴む…





そして彼から奪った短剣を振り上げ…




思いっきり振り下ろした…







ザクッと言う音と共に刺さった短剣の刃はダイの顔の真横に突き刺さり、彼の頬にできた1つの赤い筋からは血が流れる…





短剣の柄を握るマリンの腕は震え、顔を背けるように目を伏せていた…







一瞬目を瞑ったダイは震える彼女の手を握り、木の幹に刺さった短剣を引き抜く…




ハッとして抵抗しようとするが…


その抵抗も意味を成さなかった…







肉を刺す感覚が身体の芯まで伝わり、生暖かい鮮血が頬に飛び散る…






短剣を握っていたマリンは目を見開き…



虚ろな瞳を閉じ木に背をつけ座るダイは血を吐き、胸には短剣が突き刺さる…







太陽が雲の隙間から静かに姿を表した頃、彼は短剣の刃を自ら自分の胸へと導き息を引き取った…



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