BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
厚い雲に覆われこの地で起こった事を何も知らない太陽は、人々に元気を与えようと輝きを増していた。
その光に照らされ、血だらけのダイの姿がしっかりと瞳に映る…
見たくないのに…
少しでいいから彼の姿を闇で隠してほしいのに…
なのに天の光は彼女を追い込むように瞬き、苦しむ彼女を嘲笑うかのように地を照らす…
マリンは眠るように瞳を閉じるダイを見つめ、力なく地に座り込んだ…
両手の拳は砂を力強く握り締め、震える唇を噛み目を伏せる…
そんな彼女の元に音もなく近づいた仮面の女…
無傷の彼女はマリンの頭に血の気のない青白い手を置き撫でてやる…
乱暴に、それでいて優しく…
マリンを慰めるように…
「……立てるかい?」
しばらくマリンの頭に手を置き、ポンポンと叩くと訊ねる。
するとマリンは顔を上げる事なく頷くと、ゆっくりと立ち上がった。
ふらつく彼女の肩に手を添え支えてやると、支えていない方の掌を天に向ける。
「あんたを無事に帰すまでついているべきなんだろうけど、それは無理みたいだ…」
その上には小さな風が渦を巻き、一枚の緑のが浮いていた。
それを不思議そうに見つめていると…
「この葉についていけば研究所に辿り着ける。気をつけ…………」
女は最後まで言い終わる前にマリンの肩を押し、自分は何かから逃げるようにジャンプし後ろへ一歩後退する…
突然の事に対応できず尻餅をついたマリンと女の間を物凄いスピードで何かが通過…
それはそのまま木の幹にぶつかり丸い穴を開ける…
銃弾のような物体が飛んできた方へと目を向けると、そこには青いローブを身に纏い深くフードを被った人物が立っていた…
フードから黄色い髪を覗かせるその人物は、こちらにマシンガンのような銃を向けている…
「……ロリ………?」
マリンはその人物を知っているようで名を呟くが、その人物は返事もなく威嚇するように銃を仮面の女に向けるだけだった…