BLACKNESS DRAGON
~希望という名の光~
仮面の女は一歩後退し地に足がつくと同時に動きを止めた…
喉元には巨大な鎌の刃が、胸には氷でできた剣(ツルギ)が突きつけられていたのだ…
「これで終わりだよ……」
「もう誰も殺させねぇぜ……」
前方で氷の剣を突きつけた男が言い、背後から鎌を首に添えた男が続く。
「ウィルス……?ジャスティ……?」
尻餅をついた状態でマリンはそう呟くと、鎌の男ジャスティが大丈夫だと一言…
そして鎌の柄を握り直し片足を後ろに引く…
「…待っ…………!」
今にも刃を引きそうになったジャスティを止めようと慌てて立ち上がろうとするが、そんな彼女を仮面の女は片手を挙げ制する…
無言で止められたマリンは再び座り込み、武器を構えたジャスティとウィルス、ロリは不審そうに眉を潜めた…
武器を突きつけられているのに、女は何事もないように挙げた手で指を鳴らす…
パチンとその音が辺りに響くと、轟音と共に突風が吹き荒れる…
女を中心にして吹く風を受け、ローブを着る3人のフードは捲れ、すぐ傍にいた2人は立ってはおられず膝をつく…
ジャスティは膝をつく前に鎌を引くが、既に女はそこにはおらずその刃は空を斬る…
黒髪を揺らすマリンは腰を地につけ、顔の前に腕をかざしながら突風に耐えていると…
「あんたのやった事は悪い事じゃない。自分を責めるんじゃないよ。」
「……えっ………?」
そんな声が風に乗って彼女の耳に届いた…
驚き目を開くと同時に突風はおさまり、女がいた所に目をやるがそこには彼女の姿はない…
どこへ行ったのか探そうと左右を見回していると…
「……フウ………?フウなの……?」
マシンガンを下ろし、こちらに背を向けて立つ仮面の女に問うロリ…
信じられないというように大きく目を見開き、何度もまばたきを繰り返す…
女はロリの問いに答える事なく粉々になったブランコの残骸の前に立ち、胸を血に染めたリョクを抱えていた…