一人こっくりさん
 カーソルが動きだした。

 俺は思わずごくり、と唾を飲んだ。



【い】
    【な】
        【い】


 ……は?

「居ないだと……? どういう事だよ」

 するとまた、カーソルが動きだした。

 出てきた答えに、俺はさらに唖然とする事になる。


【た】
   【べ】
      【た】
         【か】
            【ら】

 【食べたから】

 食べたから?
 タベタカラ?
 タ ベ タ カ ラ ?

「何……を…………」

 理解出来ない。
 いや、理解したくない。
 理解する事を、全身が拒否している。

『僕、見た』

 その時、チイラの声がした。

「見たって……何を……」

 答えなんて聞きたくなかった。

『君の母親がこっくりさんに食べられてるとこ』

 チイラはさらりと言った。

「嘘だ……」

 嘘だ。
 そんなはず、ない。
 今朝母さんが居たじゃないか。
 今までずっと居たじゃないか。

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッッ!」

 俺は叫ぶ。

 だが、カーソルは無情に動く。

【ほ】
  【ん】
    【と】
      【う】
        【だ】

 【本当だ】
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