一人こっくりさん
「はぁっ、はぁ……」

『叫び疲れた?』

 こんな時だというのにチイラは微笑しながら言う。

 何がおかしいんだ……。

『ほら、これ君の母親の一部。こっくりさんからもらったんだ、欲しい?』

 チイラは俺に何かを差し出した。

「なん……だよ」

 それは
見るだけで気持ち悪くなるような赤黒い液体……血がついていた。
 目玉くらいの大きさの……

 いや、目玉だ……

 母さんの……目玉。


「うわああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 歯車は狂う。

 重くのしかかる絶望は

 俺には持てない。


 絶望とはこんなに重く、苦しいものだったのか。

 痛い、心が、喉が、体が、頭が

 こんな事ならいっそ……

「―――殺してくれッッ!!」

 自分が何を言っているか分からない。
 ただ、この絶望から解放されたいんだ。

 カーソルは【はい】を指していた。

 楽になれるのか……?
 早く、早く、楽にしてくれ。

 呼吸が弱まる。
 母さんの銀のブレスレットが落ちる。


 意識が遠退きそうだ……。



『優!!!!』
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