一人こっくりさん
第十四章 孤独
 駿とこっくりさん、二人だけになった。

『こっくりさん、こっくりさん』
 駿は話しはじめた。

『いくつか質問してもいいですか?』

 カーソルは【はい】を指した。

『あっ、ありがと〜! じゃあ言うね!』

 駿はあくまでも笑顔で話す。
 だが、目は笑っていない。

『こっくりさんは、何が望みなの〜?』

 カーソルは文字を指していく。

【ひ】
  【と】
    【の】
      【こ】
        【こ】
          【ろ】
―――【人の心】

『へぇ〜っ、じゃああの本に書いてある事は本当だったのかな!?』

 あの本とは、知依に渡した本だ。

『こっくりさんの好物は、人の心』

 カーソルは【はい】を指した。

『しかも、憎しみや怒りの心を喰う』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『こっくりさんは、人の悪い心の塊――だよね?』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『その悪い心を取り除くと、こっくりさんは消える――そうだよね?』

 カーソルは【はい】を指したままだ。

『だから、僕がこっくりさんを消してあげるね』

 カーソルは【いいえ】を指した。
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