ショコラ~恋なんてあり得ない~

「忘れものだぞ」

「ありがと。行ってきます」


なんとなく、背中を押された気分で胸がはやる。

彼を捕まえよう。
そして、お礼を言わなくちゃ。

宗司さんの感想、嬉しかった。
あたしの事分かってくれてるのが、とてつもなく嬉しかった。

あたしがマサを好きだなんて、誤解よ。
好きなのは、あなた。


言ってもいい?

あたしもう、言ってしまいたい。

だって、またあなたが来るか来ないか悩む日々を送るのなんてイヤだ。


当たり前みたいに傍に居て、笑ってくれる存在になって欲しい。




「宗司さんっ!!」


大きな背中が振り返る。
あたしを見つけたら、驚いたように目を丸くして、それから笑う。

ほら、予想通りに。

< 164 / 303 >

この作品をシェア

pagetop