ショコラ~恋なんてあり得ない~
「……片づけなきゃ」
目の前にはフラッペ用のグラスが一杯。
洗って、開店準備しなくちゃ。
「詩子、ちょっと買い物行って来い」
「え?」
「牛乳でいい」
「でいい、って。父さん」
「いいから行って来い。で、戻る時に店の看板を【OPEN】に替えてこい」
それって。
店の開店時間まで出てきていいって事?
顎を触って、にっこりと笑う親父。
いいの?
宗司さんを追いかけてきても。
「早くいけ」
「う、うん」
エプロンを外して、マサに向かって投げる。
「何すんだ!」
「そこに置いておいて!」
駆け出すように扉に向かうあたしに、親父が財布を投げてくる。